7連勝。首位。満員のホーム日立台。
尻上がりのチーム状態。
ユース年代からの積み重ね。ハマった選手起用。連携の向上。若手の躍動。鮮烈なポジション争い。ヒーローの誕生。代表招集。
勢いに乗って、掴んだ自信と勝負強さ。
迎えるはJ最大のビッグクラブ。赤い悪魔。
浦和レッズ。
さぁ、
舞台は整った。
J1第14節 柏レイソル vs 浦和レッドダイヤモンズ
6月4日(日)
19:00キックオフ
日立柏サッカー場
柏 1 - 0 浦和
1 前半 0
0 後半 0
■45+1分 中川 寛斗(柏)
<柏レイソル スターティングメンバー>
GK 中村 航輔
DF 小池 龍太
DF 中谷 進之介
DF 中山 雄太
DF 輪湖 直樹
MF 大谷 秀和
MF 手塚 康平
MF 中川 寛斗
FW 武富 孝介
FW クリスティアーノ
FW 伊東 純也
最高のエンターテイメント
Jリーグでも、洗練されたクラブ同士が戦うと、こうも面白いゲームになるのか。
これが日本代表
中村航輔だ!
いまやJ屈指の攻撃力、興梠を中心に阿吽の呼吸で繰り出される縦に速いワンタッチ・ツータッチの崩しはもはや芸術の域。
試合開始から、興梠の動き出し・ボールを受けながら体を上手く使って前を向く動きに手をやく中谷進之介。
ペナルティエリアそば、気付けば浦和レッズのシュート体勢。
……そんな状態が何度あったか。
そのたびに、ピッチの上の選手の中で、一人流れる時間があきらかに違う、素早くシャープで大胆な身のこなしをみせる一人の選手がいた。
GK中村航輔。
静から動。
落ち着いて状況を見極め、ここぞという時にギュン!と一気に間を詰める。
その一瞬でシュートコースは限定され、すべてのシュートは航輔の守備範囲へ。
最短距離で出る手足がどんな至近距離のシュートも驚異的な反応で跳ね返す。
そのプレイは、一番泥臭いはずなのに、優雅ささえ感じられる。それほどまでに隙が無い身のこなし。
浦和レッズの美しく凶悪な決定機を、三度四度と跳ね返し、完全に無効化したのは間違いなくこの男。
しまいにはレッズ興梠のPKすら外させるのだから恐れ入る。
まぁ、これは、駆け引きに過度に比重を置いた興梠の精神状態と、そこにいつもよりサポーターの熱が伝わる日立台の力が加わった結果でもあるが……。
これらを味方にする・利用するチカラが、中村航輔には間違いなくある。
レイソルユース最高傑作。
柏が誇る絶対的守護神。
そして、
日本代表。
毎試合、彼がみせる神がかったプレイの数々。
少なくとも2017シーズンにおいて、これが中村航輔のスタンダードだ。
これからが本番!
夏は小池龍太の季節
相手によって戦術は変えない、自分達のサッカーを貫く浦和レッズ。
それでも今節、浦和レッズは柏レイソルをしっかりと研究し、対策を練ってきたようだ。
浦和レッズはマイボールにすると、素早くレイソルの右サイド後方にロングボールを蹴り込んだ。何度も何度も。
そこに待っているのはレイソル右サイドバック小池龍太。
レイソルにとって小池龍太は弱点?
いや、違う。
レイソルの右を狙い続けた浦和レッズの目的とは……。
快速アタッカー伊東純也に仕事をさせないこと。
柏レイソルのストロング、右サイドからの攻撃。
これに大きく貢献していたのが伊東純也だ。
これまでの試合、彼が高い位置でボールをもらい、持ち前の快速を飛ばして相手ディフェンスを1人2人と剥がして攻撃を展開。ドリブルと高精度クロスを武器に右サイドから大きなチャンス何度も作り上げてきた。
レッズがこれを封じるための策として用意したのが、
伊東を守備に走らせて自陣にくぎづけにすること。
右サイドの深い位置で相手にボールを持たれると、小池と共に伊東も下りてきてサンドイッチ。レイソルの守備の約束事としては当然で、これまでの試合でもこれがしっかりとハマっていた。
レッズはこれを逆手に取ってきたというわけだ。
実際にこの試合前半、伊東はいつも以上に上下動を繰り返させられ、攻撃の迫力は半減していた。レッズの思惑通りに。
だがひとつ、レッズには大きな誤算があった。
小池龍太の存在だ。
小池は、下りてきた伊東とともにまずはしっかり守備。
そして、レイソルがボールを奪うと、誰よりも早い攻守の切り替えを披露。
低い位置にいる伊東を確認すると、それを感じさせない切り替えの早さで攻撃に参加。
素早いオーバーラップを繰り返し、右サイドの攻撃を活性化。
前半アディショナルタイム。
右サイド深い位置でボールを受けた小池龍太。対応するディフェンスを突っ掛けると、縦にスピードを上げて振り切りクロス。速い弾道のクロスは、浦和GKも反応出来ないままファーサイドへ。待っていたのは大外の武富。ヘディングを叩いて落とすと中川が詰めて無理やりヘディングシュート! 前半終了間際、最高の時間帯でのゴール!!
相手の策を無効化した小池龍太。
これまで対人守備の強さが目立っていたが、浦和が狙った伊東封じを完全にカバーできるほどの攻撃センスがあることを証明する結果となった。
潜在能力はレイソルの中でもピカイチの小池龍太。
夏の暑いピッチコンディション、これから彼の季節がやってくる。
チカラを合わせて
今節がどれほど重要な試合か、十二分にわかっていた両クラブの選手・監督・サポーター。
満員の日立台。絶対に勝たなくてはいけない相手。
これまで積み重ねた勝利や、順位、チーム状況が今シーズン最高の盛り上がりを創り上げた。
クリスが試合前、サポーターに向けて贈った言葉。
「選手はピッチで戦って勝つ。だからサポーターはレッズに応援で勝ってほしい」
レッズサポーターは相手を飲み込む術を知っている。
レイソルサポーターがそれにやられてしまったら、ピッチの状況も一変してしまうことだろう。
共に戦う。すべてのチカラを結集して絶対に勝つ!
お互いの選手・監督・サポーターが助け合い、本気でぶつかり合ったからこそ、最高の雰囲気で、最後まで締まったゲームになったのではないだろうか。
そして、これからもどんな相手だろうと、この気持ちを忘れず戦い続けなくてはいけない。
最高の相手だから最高のモチベーションに、ではなく、
いつどんな時でも最高のモチベーションに。
言葉で言うのは簡単だが、僕らが人間である以上、これが一番難しい。
一戦必勝。
真の常勝軍団への第一歩だ。
やってやれ! 柏レイソル!
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