勝負強い。1点差勝利。内容が悪いなりに勝つ。カシマる。
鹿島アントラーズは試合巧者だ。
相手がどんなにボールをキープしようが、相手にどんなに押し込まれようが、ピッチに立つ選手達は冷静に相手を見続け、考え、対応していく。
そして、一瞬のスキを突く。
少しずつ、少しずつ、攻撃の選択肢を遮断されていく対戦相手は、やがて小さな綻びを生む。
パス、トラップ、ポジショニング、連携、それらのほんの少しのズレ……。
それが鹿島の攻撃のスイッチとなる。
相手からボールを刈り取った瞬間、一気に攻撃に転じる。その切り替えの早さは相手を置き去りにし、高確率でシュートまで持っていく。
ゴールを割れずとも、それを繰り返された相手は勢いを削がれ、いつしか主導権を手放してしまう。
これが鹿島の大きな武器、ショートカウンター。
そして来たる2017シーズン。ゼロックススーパー杯。
鹿島アントラーズの魅せたその攻撃は、更なる領域に到達したことを証明してみせた。
そう。ひとりの選手の加入によって。
#4 MF レオ・シルバ
181cm 76kg 右利き
〇相手の攻撃を封鎖する危機察知とポジショニング。
〇一瞬で間合いを詰めてボールを刈り取るプレッシング。
〇奪った瞬間にゴールへの道筋をこじ開けるドリブル、パス。
ピッチの中央に立ちはだかるこの男は、新たなクオリティを鹿島にもたらした。
レオ・シルバ個人の対人の強さが中盤のボール奪取を飛躍的に向上させたのは言うまでもない。だが、本当の変化は、その後の攻撃の展開にあった。
相手からボールを奪うと、上がってくる選手をうまく使いながら、素早く的確に相手選手を避けてゴールへの道筋を作り上げる。選手全員の共通認識が可能にする一糸乱れぬ攻撃。
これが鹿島のカウンターだ。
ここにレオ・シルバは、強烈な味付けを施した。
自らボールを刈り取ると、すぐさま力強いボールタッチで群がる守備陣を剥がして前進、味方を使わずしてスペースを作り出し、一気に攻撃の選択肢を増加させる。そしてその一瞬で最適解を見つけ出し、相手の急所目掛けて正確なボールを打ち込んでいく。
よりスピーディで鋭利なショートカウンターの完成。
これまで新潟の地で幾度もクラブの危機を救ってきたレオ・シルバ。
Jリーグ優秀選手にも選ばれ続けてきた彼だが、本当の活躍はこれからだ。
狙うはJリーグMVP。
2017シーズン鹿島アントラーズは、レオ・シルバの力を得てより高みへ突き進む。
コメント