低い位置からピッチを幅広く使い、大事にパスを繋ぎながら相手の隙を伺う。
これが柏レイソルのサッカーだ。
昨シーズン、そのパスの繋ぎの中心となるDFラインの中で、どうしても固定出来なかったポジションがひとつある。
右サイドバック。
絶対的な存在がいない中、いろいろな選手が試され、レイソルはその度に違った表情を見せていた。
伊東。湯澤。鎌田。増嶋。
ある時は、スピードに乗ったドリブルで相手を切り裂く槍となり、
ある時は、ハイボールを全て跳ね返す盾となる。
良くも悪くもそこに収まる選手の特性が、そのままレイソルの攻守に反映された。
そして、昨シーズン終盤。
そんな右サイドバックに新たな色を奏でる選手が現れた。
茨田陽生
本来のポジションではない彼が右サイドバックに収まると、ふらふらと狭いサイドを漂いながらボールを引き出し、素早く味方にボールを捌くことで攻撃のスイッチを入れていく。
中盤でみせていた柔らかいボールタッチとパスセンスを、彼はそのままDFラインに持ち込んだ。
DFラインに攻撃の起点が出来ることで、ボールポゼッションは飛躍的に向上。レイソルサッカーに大きな安定感をもたらした。
相手を押し込む攻撃力。相手を弾き返す守備力。上下動を繰り返す運動量。
それらとはまた違うやり方で、レイソルの右サイドバックの在り方を提示してみせた。
しかし、
2017シーズン、そんな彼はもういない。
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