ゴールデンウィークラストマッチ。
チケット完売。満員の日立台。
上位進出、首位追走には勝利が絶対条件。
昨シーズン、大事な一戦を迎えるたびに勝負弱さを露呈した柏レイソルにとって、真価が問われる大一番。
夏日のデイゲーム。
高い気温が選手達の体力を奪う中、互いが一瞬たりとも隙を見せない守備合戦。
順位、チーム力、試合展開。
すべてが拮抗し、ジリジリとした流れの中で、勝負を分けたのは、選手達の勝負へのこだわりと最後の頑張り。そして、満員の日立台が創り出した最高の雰囲気、ファン・サポーターの声でした。
J1第10節 柏レイソル vs セレッソ大阪
5月6日(土)
14:00キックオフ
日立柏サッカー場
柏 1 - 0 C大阪
0 前半 0
1 後半 0(柏 57分 クリス)
<スターティングメンバー>
GK 中村 航輔
DF 小池 龍太
DF 中谷 進之介
DF 中山 雄太
DF 輪湖 直樹
MF 大谷 秀和
MF 手塚 康平
MF 中川 寛斗
FW 伊東 純也
FW クリスティアーノ
FW 武富 孝介
勝負を分けた 諦めない走り
セレッソ大阪。今シーズン、いまだ一敗のみ。
攻撃陣に素晴らしいタレントを擁してはいますが、今のセレッソのストロングはそのテクニックではなく、しっかりとスペースを埋めて相手の攻撃を跳ね返す粘り強い守備にあります。
セレッソは試合全体を通して、レイソルのビルドアップにあまり食いつかず、リトリートしてスペースをうめて対応。試合序盤、レイソルはこれに手を焼き、ボールを保持することが出来ません。
そして、ひとたびセレッソがボールを持つと、ピッチを広く使ってサイドチェンジを多用。
レイソルの陣形をずらしてサイドを攻略。そこから杉本健勇のシュートチャンスを何度も創り出していました。
ただ、この日のセレッソは、そのシュートがことごとく決まりません。
今日は杉本健勇の日ではなかった……。
レイソルサポーターの自分でもそう思ってしまうくらい、試合全体を通してこの日の杉本健勇には、決定的なゴールチャンスがあふれていました。
もちろん結果論になってしまいますが、彼がそのどれか一本でも決めることが出来ていれば、試合展開は全く違ったものになっていたことでしょう。
前半中盤以降、レイソルがセレッソの守備になれはじめると、状況が変わります。
レイソルは、どんな状況でもソウザに誰かひとり必ず強くアタックすることを徹底。するとこれがセレッソの攻撃の連動性を遮断。攻撃の芽を摘むことに成功します。
こうなると、お互い気持ちのこもった守備の連続。攻撃を潰しあう拮抗した展開に。
気温の高いピッチ環境の中、相対する相手に負けじとボールに食らいつき、身体をぶつけ合う選手達。
レイソルは、相手の粘りの守備に苦戦し、シュートチャンスを全く作ることが出来ずにいましたが、それでも集中を切らさず相手同様守備のリズムだけは崩しません。
ときおりおとずれるピンチも、試合前に怠らなかったセレッソ攻撃陣の分析の成果もあり、局面では個々の突破を許さない隙のない対応をみせます。
互いにゴールチャンスが少ない引き締まった試合展開。
その選手達の戦う姿勢が、満員の日立台のボルテージを上げていき、観ている者を熱くさせていきます。
そして、後半12分。
とにかく焦れずに粘り強く戦っていたレイソル戦士に歓喜の瞬間がおとずれます。
大谷が前でボールを呼び込むクリスにパス。そのボールを受けたクリスは寄せてきたディフェンスをかわしてターン。そのままドリブルを開始しようとしたファーストタッチが強くなり、ボールがペナルティエリアで待ち構えるディフェンスのもとへと転がります。
ディフェンスがクリアしようとしたそのボール。そこに諦めずにクリスが突っ込むと、ディフェンスが蹴ったボールがクリスの臀部を直撃。跳ね返ったボールがそのままネットを揺らします。
レイソル先制!!
一瞬の出来事。クリスの待ちに待った今シーズン3点目!
ラッキーなゴール。
確かにそうかもしれません。
しかし、厳しいコンディションの中、それでも走り続け、焦れずに相手の嫌がることを徹底してやり続けたクリスだからこそ生まれたゴール!
拮抗した展開を打ち破る素晴らしいランニングでした。
勝負を決めたディエゴ・オリヴェイラ
レイソルのゴール。
これによって、試合は大きく動きます。
待ちに待った先制点。これがまず、スタジアム全体にスイッチを入れます。
これまで以上の盛り上がりをみせるサポーター。
先制した勢いで動きの良くなった選手達。それをスタジアムの声援がさらに後押しします。
そして、ここで選手交代。
武富に代わってディエゴ・オリヴェイラ。
気温が高く厳しいピッチコンディション。
消耗し運動量の落ちはじめたセレッソの選手達。
そこに投入されたディエゴ・オリヴェイラ。
これが勝負を決めました。
前線に入ったディエゴは、その強靭なフィジカルと柔らかい身のこなしで、ことごとくボールをキープ。
これが、セレッソの攻撃する時間を消すとともに、レイソル守備陣の休む時間を創り出しました。
そのうえ、ディエゴのその規格外のプレーの連続が、日立台の熱狂をさらに大きなものに。
試合は完全にレイソルのものとなります。
この試合だけで終わらせてはいけない
先制し有利に試合を進めたレイソル。
その後、細貝を投入し守備を引き締めなおすと、最後は鎌田を入れて守備強化。
試合終盤、相手の猛攻を受けるも、最後はGK中村のビッグセーブで勝負あり!
虎の子の1点を守り切り1-0完封勝利!
最高の日立台の声援を背に、待望のリーグ戦4連勝!
拮抗したゲーム。厳しい消耗戦を競り勝って、絶対欲しかった勝ち点3をゲット!
ルヴァンカップの不甲斐無い敗戦から、戦う姿勢を取り戻したレイソル戦士達。
終わってみれば、守備に大きな手応えを得る重要な一戦となりました。
しかし、まだまだ勝負はこれから!
この試合には勝利することが出来ましたが、攻撃の部分に多くの課題が出た内容でもありました。
チームは10節を終えて5位。首位とは勝ち点差3となりましたが、正直に言って、このゲームの攻撃の完成度を考えると、まだまだ鹿島アントラーズや浦和レッズと優勝争いをするレベルに達していないのが現状でしょう。
ただひとつ。
今日の勝利でわかったこと。
『試合前に戦う準備を怠らず、どんな状況でも諦めず最後まで走り続ければ、何かを起こすことが出来る』
そう。この戦いを繰り返していくことで、いつか本当に強い柏レイソルが完成するはずです。
その時が来るのを楽しみに、我らレイソルサポーターは、この試合のような最高の後押しを続けていきましょう!
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