<柏レイソル> 司令塔・手塚康平とチームの成熟度 ~2017Jリーグ第11節 vs FC東京~

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第11節、すべての試合を終えて順位表を見る。

3位。

勝ち点21。
首位と勝ち点1差。

ついにきたのか。

過去に経験し、皆が待ち望んだ、あの壮絶な戦い。
選手・サポ・クラブに関わるもの全てが、全身全霊をかけて挑んだあの感覚。
若いチームが強くなるために絶対に必要な経験。

優勝争い。

今、その争いに食い込むチャンスが目の前に。

しかし、まだまだ予断を許さない。
拮抗したJリーグ。
一瞬の気の緩み、それはすぐさま順位に表れる。

柏から世界へ。

まずはそのスタート地点に立つために。

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J1第11節 FC東京 vs 柏レイソル

5月14日(日)
15:00キックオフ
味の素スタジアム

F東京 1 - 2 柏

0 前半 1(柏 33分 手塚
1 後半 1(柏 46分 伊東)(F東 90+3分 田邉

<スターティングメンバー>
GK 中村 航輔
DF 小池 龍太
DF 鎌田 次郎
DF 中谷 進之介
DF 輪湖 直樹
MF 手塚 康平
MF 大谷 秀和
MF 中川 寛斗
FW 伊東 純也
FW クリスティアーノ
FW 武富 孝介

 

ゲームをあやつる司令塔 手塚康平

またしてもやってくれました!
ボランチ手塚の意表を突くロングシュート!

これがこの試合での先制点となりました!

 

試合序盤、ディフェンスラインまで下りてきて、ビルドアップに積極的に参加していた手塚。
同じボランチでコンビを組む大谷ともつかず離れず、ボールを持っている味方選手の近くに常に顔を出しながらボールを流動的に動かし、ディフェンス陣とオフェンス陣のつなぎ役を見事にこなしていきます。
前に積極的にプレッシングをかけてきたF東にとって、この動きはとても厄介。
強く当たってきたF東の選手達をしり目に、手塚は常に自分が受けるパスコースを確保。相手プレスをいなしてボールを受けては、プレッシャーなど全く関係ないと言わんばかりの安定したボールタッチで狭い中盤を支配。手塚自身は攻撃に参加しませんが、攻撃の経由地点として長短のパスを刻んでレイソルのポゼッションを高めます。

ディフェンスとオフェンスを繋ぐリンクマン手塚。本日も素晴らしい活躍!

……しかしそれは、間違った認識でした。

そう。レイソルの背番号17・ボランチの手塚康平という選手は、どうやらそんな小さな枠に収まるような選手ではないようです。

 

前半33分。

これまで通りうまく中央のスペースに顔を出し、ボールを呼び込む手塚。
ボールを受けてうまく前を向きます。

フリー。
決定的なパスを出すには十分な時間とスペース。
前のパスコースを消そうと動くF東ディフェンス陣。

その一瞬を見逃しませんでした。

左足を振り抜きロングシュート!

左足から放たれた無回転ぎみの低い弾道のシュート。ゴールキーパーが反応しますがその目の前で地面に落ち、弾ききれずそのままゴールの中へ転がりました。

レイソル先制!

 

これまで効果的なパスを出し続けていた手塚。
中盤でのリンクマン・パサーに徹していたからこそ生まれたF東ディフェンスの一瞬の隙。

してやったり。

手塚康平。
この選手の凄いところは、
自分の置かれた状況をしっかりと読み取り、すぐさま最適解を導き出す判断力と、それを実際に可能にする確かな技術。
これに尽きるのではないでしょうか。

攻撃を組み立て、相手の意表を突きサプライズを起こす。

司令塔。
そう。彼はリンクマンなどではなく、ゲームを操る司令塔の素質を持っています。

彼が積極的にボールに絡むことで柏レイソルの連携はどんどん高まり、ここぞという時には自ら相手の急所を突く。

やっとレイソルに現れた、得点に直結するプレイが可能なボランチ。

まだまだ若い。
これからどんどん経験を積み、上手い選手から怖い選手へ。

手塚康平。

これからが非常に楽しみな選手です。

 

クリスと伊東の連携

クリスティアーノがトップに入ることでチーム全体がうまくハマりだした柏レイソル。

それは実戦を重ねることで精度が増し、前線からの連動したプレスや、後方・中盤のビルドアップなど、日増しに選手間の相互理解が高まっているように感じます。

そんな中で、これまでどうしてもカタチが見えていなかったのが攻撃のラストの部分、相手のディフェンスをどう料理するのかというところ。
遅攻に関してはまだまだのところがありますが、本日の試合、2人の選手が非常に切れ味の鋭い速攻を見せてくれました。

クリスティアーノと伊東純也。

相対するディフェンスが、簡単に飛び込むことの出来ない、爆発力のある2人。
この2人が近い距離感でパス交換し、同時にゴールへ向けて動きだすことによって互いにディフェンスを引き付け、チャンスを創り出します。

 

この試合の2点目、後半始まってすぐのシーン。
手塚から中川に楔が入ると、中川がダイレクトで前に走り出したクリスにパス。
そこに引き付けられたディフェンスを横目に、クリスもすぐにボールを前に蹴り出します。
スペースを狙ったキラーパス。
そこにトップスピードで突っ込む伊東。
ペナルティエリア内、ディフェンスと競争になった伊東が滑り込みながら相手より先に触ってゴール!

手塚→中川→クリス→伊東

相手がついて行けない、前のめりでスピード感あふれるワンタッチ・ツータッチ。

連携もさることながら、クリスのシンプルなプレイが伊東のスピードを最大限に活かした、素晴らしいゴールでした。

 

この試合、ゴールシーン以外にもクリスと伊東の好連携でチャンスを量産。
ゴールには至りませんでしたが、2人だけでF東のディフェンスラインを破壊する場面がありました。

数試合前、クリスがトップに入るようになってからというもの、ボールが流動的に動くようになり攻撃が活性化されました。
そんな中、ここにきてクリスと伊東、個人間での相互理解も進み、相手がどこに欲しいのか、どうすれば相手が活きるのか、お互いの感覚が合致した連携プレイが出来るようになってきました。

その連携の向上により、この試合、クリスはひとりで11本のシュートを打つことができました。
結果としてクリスにゴールは生まれませんでしたが、間違いなく前線の連携力、シュートまでのカタチは向上しています。

爆発の日も近いはずです。

 

中山の穴を埋める鎌田次郎

この試合、U-20代表に招集された中山に代わってCBに入ったのは、鎌田次郎でした。

今シーズン、鎌田は何度か右サイドバックで起用されるも大きな働きは出来ずにいました。

でも、やはりセンターバックの選手ですね彼は!
本来のポジションで、見事に期待に応えてくれました。

とにかく空中戦には強い強い!
落下地点を素早く見極め、相手よりも先にしっかりポジショニング、ハイボールをことごとく跳ね返します。

ビルドアップも、中山のような目先を変えるロングフィードは無いものの、下りてきた手塚・大谷を使ってしっかりと繋ぐことが出来ていました。

もちろんGK中村航輔のスーパーセーブもありましたが、これまで出場機会の少なかったベテラン鎌田が、この日のために準備を怠らず、しっかりと中山の穴を埋めてくれたことが勝利への大きな要因となったのではないでしょうか。

 

成熟度の勝利

首位追走のために絶対に欲しかった勝ち点3。

この勝利は本当に大きい!

しかも、今シーズン周りがうらやむほどの豪華な補強を行ったFC東京を見事に粉砕した試合内容には驚きました。

大久保、前田、ウタカ、中島……、個性あふれる攻撃陣。
そして、そこに高萩が素晴らしいテクニックとパスセンスで彩りを加えます。
このメンバーをみての通り、個の力を持った一癖も二癖もある選手が揃っているFC東京。

そんなチームに臆することなく、90分間ディフェンスラインを高く保ち、ボールを持つ時間を長くすることで相手の攻撃を封じたレイソルの戦術は見事でした。

特に後半、前を向かせたら一番怖いウタカに対して、果敢にラインを上げてオフサイドの山を築いたディフェンス陣。
あのウタカを完全に沈黙させるとは、本当に恐れ入りました。

 

サッカーの成熟度……。

中川のプレッシング。
ビルドアップ。
手塚の判断。
クリスと伊東。
ディフェンスラインの押し上げ。
サイドバックのしぼり。
ポゼッション。
etc……。

どんなに個の強い選手を集めたって、そのひとつひとつのプレイが連動していないとチームとして力を発揮できません。

今回の試合では、その『チームとしての成熟度』の差が大きく出たのかなと感じました。

継続は力なり。

……とは言っても、ウチもまだまだ若いチームです。
選手同士どんどん意識をすり合わせて、もっと高みを目指しましょう!

 

順位も上がって、これからは今まで以上に研究され、対策されることでしょう。
そうなると今まで以上に必要になってくるのは、ピッチ上での選手達個人の判断力です。

レイソルサッカーの成熟度を上げるとともに、
選手自身もゲームの流れを的確に読み、行くところ、行かないところ、臨機応変に今必要なことが何かを判断し、それをチームとして共有・実行出来るようにする。

それが出来るようになった時、本当に強いレイソルの完成です。

これには経験が必要であり、サッカーにおいて何よりも重要で、難しいことかもしれません。

 

いつの日か、そんな隙の無いレイソルが世界を舞台に戦う日を楽しみにしています。

 

やってやれ!
柏レイソル!

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